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zoom RSS こけしの話(48) 高橋武蔵

<<   作成日時 : 2011/04/21 21:55   >>

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 先日、孫が無為庵の扁額を指差し、「これなあに?」と問いかけてきた。「おじいちゃんの雅号だよ」と答えたが、小学2年生の子に雅号などといっても理解できるものではなく、どう説明するかほとほと困惑した。発想力の貧弱と語彙の貧困を今更ながらに痛感させられた。

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 別の工人名を挙げる人もいるが、向かって左目が下がり、眉と瞼の湾曲は古い時代の武蔵の特徴を示すので、とりあえず武蔵としておく。視線定まらず少々淋しげでやや空ろな表情だが、不思議な生々しさがあり捨て難い。こう書くと何とも平板な形容でこのこけしのえもいわれぬ味わいを表現できていない。無為庵の発想の貧弱をここでも痛感させられる。



 某大家が武蔵こけしの魅力について「中庸の美」と語っていたのを思い出す。確かに昭和10年代以降の武蔵は、華麗味や野趣とは距離を置き、落ち着いた嫌味の無い作で穏やかに寄り添うような雰囲気を漂わせる。その大家は収集家が武蔵の中庸の美を理解しないと嘆いていたが、淡きこと水の如しの味わいは相当の教養人でなければ食い足りないであろうし、無為庵の如き凡夫はやはり直に胸に響くようなものへと走ってしまう。



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 立ち子にしては肩が大きく些かずんぐりとたくましい姿で表情にそぐわないようにも見えるが、細身の胴であったなら不健康になったことであろう。堂々と胴いっぱいに描かれた楓もたくましさを演出し、量感がある。少々野暮ったい姿だが、繊麗に仕上げないところ、土俗性が垣間見えて好ましい。



 写真では分かりづらいが、胴下部に緑で土を描き、その少し上、赤い葉の付け根あたりに緑の円が描かれる。その円から緑の蔓か茎が放射状に伸びている。楓に土は珍しくも無いが、円を描くものは余り例がない。この円が何を意味するのか分からない。放射状の赤を引き締めるために描いたのか、古い時代の何かの名残なのか、花のような感覚で花顎を描いてしまったのか、妙に気になる円である。考えてみれば葉である楓に土を描くこと自体不自然なことあり、どうも、楓を花に見立てように思えてならない。どなたかご存知であればご教示願いたい。



 横道にそれてしまったが、このこけしは無為庵の好みに合っているようで、パソコン台の引き出しのなかに常駐し、時折、取り出してはパソコンの横に立てて漫然と眺めている。無為庵が日常的に見ている唯一のこけしである。(3寸5分)







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