こけしの話(45) 高橋勘治一家

 鶯の喧しいほどの鳴声も落ち着いてきて、裏山の梅の実も少しずつ大きくなってきた。屋根に落ち、コン、コロコロと音を立て、収穫時期を知らせると、本格的に虫の出る季節を迎える。どこから侵入するのか、ゲジゲジを2匹退治した。虫にとってはとんでもない災難であろうが、どうにも許容できる相手ではない。自然との共生などといいながら、何とも身勝手なことだ。





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 今回は高橋勘治一家のたちこ。こけしの話(8)の勘治一家と同じところから入手したもので保存状態がよい。作者が勘治一家のいずれか、複合作か定かではないが、ロクロ線を勘四郎とし、この手を勘治としていた。分類の符牒のようなものであろう。



 コレクション45号では同手4寸、ロクロ模様外を掲載し、高橋盛家の最初期のものと推定している。楓模様4寸8本が集合写真に収められているが、形態、胴絵が微妙に異なるものの、古風でおおらかな味わいは共通する。



 左図でまず目を引くのは、すっきりとした姿であろう。肩の鉋溝がアクセントになっているが、なだらかな絞りから裾広がりの曲線には抵抗感がない。胴中央に配した楓一葉の鮮烈な赤がたっぷりと印象的で、花を描いたようにすら見える。花ならば左右に広がる花弁が帯を締めたようで、無造作に描いたであろうに、心憎いばかりだ。



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 表情のアップ。幅広の前髪と長い両鬢で縦長な空間を作り、その空間のぎりぎり上方に一筆目を描き眉を省略する。通常なら眉の位置に描かれた目であるが、この配置がおおどかさの源であるようだ。中央の小さな猫鼻、下方に点状に打たれたおちょぼ口であるが、間延びせず違和感がない。



 余ほど手馴れた量産のなかから生まれたものであろうが、作意無く自然に微笑んでいる。目立とうともせず、嫌味も無く、健康的で素直に微笑むこの表情にはほっとさせられる。こけしが用をもっていた時代の息遣いが聞こえるようだ。



 かつて鳴子の某工人がこの形を復元し、一定の評価を得たが、どこか痩せぎすで作為的な貧相な表情をしていた。超えがたい時代の相違なのであろうか。(4寸)







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この記事へのコメント

無為庵
2011年08月05日 22:39
dojyo さま

 お問合せの件ですが、「およね」は湯田あたりのおよね悲話によるものですので、この地の丑蔵およびその後継者のこけしでなければ意味をもちません。丑蔵がいつどのような経緯でおよねこけしを作ったのかは知りませんが、伝承を題材とする温泉場の土産としたものでしょう。

 鎌田文市にも孝子こけしというものがありますし、銀山おしんこけしなどはテレビドラマから発生していますので、このような出自のこけしがあっても不思議はないと思います。  無為庵


dojyo
2011年08月05日 22:39
ありがとうございます!無為庵さま、さすがです!ネットで調べても全然見つけられず、困っておりました。何故「およねこけし」かといいますと、私と同じ名前だからです。これからも宜しくお願い致します。

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